引き継ぎたいマナー
お箸にまつわるコラムは今回が最後です。
コラムを書くために調べたり、自分の日常をふり返ってみると、知らなかったことや間違って行っていたことがあるのに気づきました。
おそらく、幼少期の家庭の中で、身に付けさせてもらった作法の範疇で過ごしていたからでしょう。 また、正直いって「ある程度できていて困ったことはなかった」からだと思います。同じような方は多いのではないでしょうか?
ところで、日本には禁じ箸、忌み箸、嫌い箸などと呼ばれる、箸のマナー違反があります。「刺し箸」「迷い箸」「ねぶり箸」と聞くと、「あのことだな・・・」と想像できる方もたくさんいらっしゃるでしょうが、この禁じ箸は実は数えあげると20余りもあるのはご存知でしたか?
すべてを紹介はしませんが、禁じ箸と意識せずに行いがちな「渡し箸」「逆さ箸」について書きます。
「渡し箸」は皿や器の上に、お箸を横にして置くことです。テーブルに箸をじか置きしないために何気なく行いがちですが、この行為は「食事終了」を表すそうです。
ですから食事の最中に渡し箸をすると、この料理は不味かったのかな、と相手に思わせてしまう可能性があります。
そうはいっても、箸置きが無いときはどうすればよいか?その時は、箸先だけを皿に乗せ、傾けるように置きましょう。また、箸袋があったときは箸袋を五角形になるように折りたたんで箸置きを作り、中心部に箸先が入るように置くと、所作としてもエレガントです。
「逆さ箸」は自分の箸を逆さにして使うことです。自分の料理を取り分けてあげる時に取り箸がなく、かといって、自分の箸の先が料理に触れるのはどうかという時にしたことはないですか?
「逆さ箸」は自分の手が触れた場所で料理を掴む事になるのでNGなのです。自分の口に入った箸先で掴むことは避けられますが、手が触れた場所が料理にあたります。
「逆さ箸でごめんなさい」と謝りながら禁じ箸をするよりも、取り箸を用意するのが理想です。
家庭では身内同士だと思うと、箸置きや、取り箸のような道具が必要になる箸づかいをなおざりにしがちかもしれません。
とはいえ、お箸のマナーは身に付いていて当たり前ということで、大人になってからでは指摘を受けたり、気づくことは困難です。ですから家庭で育まれる必要があるのです。
次の世代にお箸のマナーを引き継ぐためには、食事はできるだけ個食を避けて&禁じ箸をなおざりにしない環境でとれたらいいですね。
締めくくりは箸の取り方・置き方です。(右利きの場合)
①右手で上から箸を取り上げます。
②左手で箸を下から受けます。
③右手を箸にそって右に滑らせ下に回します。
④左手を離し、右手で箸を正しく持ちます。
※箸を置くときは、この逆です。
左手で受け、右手を滑らせ上に回しておきます。
出来ていない方は、まずいないと思います。上記の方法でないと二本の棒を箸として持てないからです。必要最低限の所作ですが、余計なものをそぎ落とした所作は丁寧に行うと美しく、感じよくなります。
丁寧な動きでやってみると、当たり前の動作でも優美に見えることを試してみてください(^_-)-☆